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  YURI-Scene4- 

YURI 2006/08/07 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
YURI第四話。Reactorでは初の前後編でした。前編は友理奈視点、後編は茉麻視点となっております。
今回こちらに掲載するに当たりまとめてみました。

前編は2005年11月21日、後編は22日掲載。

.

「よいしょっと…さて、どれどれ~」

学校と、その後のレッスンを終えて帰宅して、カバンの中から一通の手紙を取り出す。その中身とは…


TO くまごろう


そうだねぇ。千奈美はとりあえずかまってほしいってタイプだから、
あっちから来るよりも先にこっちから話しかけてあげればそれで満足すると思うよ。
桃は逆に割と一人でも大丈夫そうだから、ヤなときは断ってもわかってくれると思う。がんばって!
でもモテるって大変だね~♪

FROM まぁ


まぁさんからの手紙。最近ちーとももちのアタックが激しくて、どうしたらいいかなって、手紙のやり取りをしているまぁさんに相談してみた。
もちろんあたしのことを好きって気持ちを表してくれるのは嬉しいんだけど、でもやっぱりちょっと恥ずかしい。
2人とも人前でも平気で好き好き言ってきたり抱きついてきたりするし。
それで恥ずかしがってあたしは逃げたりするんだけど、ちーは足が速いからまず逃げ切れないし、むしろ追っかけっこを楽しまれるだけ。
そしてももちは足は遅いけど、いつも突然どこからともなく現れて、そしてぴょこんと抱きついてくる。
たぶんももちはこういうことに関しては頭がいいから、あたしの行き先を予測してるに違いない。
そんなわけで、有能なハンター2人に追いかけられて、迫られて、でも断りきれなくてあたしはちょっと困ってた。
だからBerryz工房のママ、まぁさんこと須藤茉麻ちゃんに相談してみたわけ。

「まぁさん、ぽーっとしてるけどちゃんと見てるんだなぁ…」

まぁさんのアドバイスは、当事者のあたしから見てもすごく的確だった。
確かにちーはこっちが逃げるから追っかけてくるわけで、むしろ最初からかまってあげればおとなしくなりそうだったし、
ももちもあたしが断らないからくっついてきてるけど、「ダメ」ってちゃんと断ればやめそうな気がする。うん、そうしよう。明日試してみよう。

その後お風呂に入って、ご飯を食べて、テレビを見て、宿題をして…終わった頃にはもう夜もだいぶ遅かった。
お手紙の返事を書こうと思ったけどもう眠かったし、今日はこのまま寝ることにしよっと。
まぁさんには明日謝ろう…でもその前にちーとももちにまぁさんの作戦を試してみないとな…。

翌日。レッスン場に入ったあたしを見つけて、早速ちーが寄ってきた。

「熊井ちゃんおはよー。ねぇねぇ、新作ダジャレできたんだよ!聞きたい?聞きたい?」

いきなりまくしたてるちー。「え~またぁ?もう聞き飽きたよ、ダジャレ」とかあたしが言って、
それに対して「そんなこと言わずにさぁ、聞いてよ聞いてよ」ってちーが食い下がるのがいつものパターン。
でも今日は、まぁさんのアドバイスに従ってみる。

「うん!聞きたい聞きたい!」
「え。あ、そ、そう。そんな反応もらえるとは思ってなかった…」

なんと!いつもすごい勢いで寄ってくるちーが初めて止まった!効果てきめん!引き続きこの路線でいってみよう。

「で、なんていうダジャレなの?」
「えっとねぇ…では!"も~熊井ちゃんったら~千奈美のこと大好きなんだから。千奈美、クマっちゃう♪"」
「…」

寒いよ。寒すぎるよ。11月終わりの外より寒いよ。でもここで「寒い」って言ったらいつもと変わらないし、ここは…

「も~。あたしの名前をネタにしちゃって~。でもあたしをネタにするなんて、ちーはあたしのこと大好きなんだねっ♪嬉しいよ」

ちょっとリップサービス。まぁ実際ちーのことは好きだけど。

「そ、そう?あたしも熊井ちゃんのこと大好き!」

サービスしすぎたかな…やっぱりここからスキスキ攻撃が始まっちゃうのか…。

「でもなぁ…寒いって言われるのに慣れちゃって、なんか調子狂うなぁ…」

あれ?

「まぁいいや。熊井ちゃんに最初に新作聞いてもらえて嬉しい!じゃあまた後でね~」

そう言うと満足そうにちーは離れていき、自分の振り付けの練習に入った。すごい。ホントに簡単にちーをやりすごせちゃったよ。
まぁさんのアドバイスは最高。そう思っていると…

「ゆり~♪」

ももちだ。後ろを振り返ってみればいつのまにか1メートルちょっとの距離まで寄られてる。ホント、いつの間に現れたんだろう…。
ももちは今日もニコニコ。この様子だと今ちーが去っていった様子も見ていたんだろうな。つまりももちにとっては今が絶好のチャンス…来る!
ももちが飛びつき態勢に入る。利き足に体重を集め、それが開放されて小さな身体が宙に舞う…寸前

「ももち!」
「あぇ?」

あたしがいきなり呼んだので、ジャンプしようとしたももちは態勢を崩してずっこけた。
結果としてあたしはそれを抱きとめる形になる。ももちもあたしの背中に腕を回す。
さっきまでも笑っていたももちの顔がさらに満面の笑みに変わる。でも…

「ももち、あのさぁ」
「なぁに?ゆり」

もぞもぞ。もぞもぞ。あたしの胸に顔をすりつけながらももちが答える。

「こうやって抱きついてくれるのは嬉しいんだけど…」
「けど?」

顔を上げるももち。

「やっぱさ、恥ずかしいんだよね」
「桃じゃ…イヤ?」
「ヤじゃないけど、なんだろな、その…とにかく、ちょっと恥ずかしいんだ」
「そっかぁ」
「ごめん」
「うぅん。ゆりが困るんならしょうがないよね」
「え?」
「別に抱きつかなくてもゆりのこと好きー!ってアピる手段はあるし、そっちに変えるね」
「ももち…」
「桃はただ走って追っかけるだけの単純な女の子じゃないからね♪」
「そ、それって…」
「じゃあね、ゆり。桃の新アプローチ、お楽しみにぃ~♪」

そう言ってももちも離れていった。さっきからちらちらこっちを気にしてたちーも、それを見て安心したみたい。
なんだろう、全部うまくいっちゃった。ひょっとしたらBerryz工房で一番頭がいいのはまぁさんなのかもしれないな。

「おはよう。熊井ちゃん」

そんなことを思っていたら本人がやってきた。

「おはよう!ねぇねぇ、お手紙の通りにやったら全部うまくいったよ!ありがとう!」
「ホント?よかったぁ」
「あ、でもお手紙の返事、まだ書いてない…ごめん」

素直に謝った。するとまぁさんは

「うぅん、気にしないで。待つの好きだから」

優しい…!なんかまぁさんと話していると癒される。ホントに落ち着く。
ちーやももちにはない安心感がある。一緒にいたいな、って思わせるものが。

「ねぇ、今日一緒に帰らない?なんかお礼したいし」
「いいよぉ、お礼なんて」
「そんなこと言わずにさ、肉まんでもおごるよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて♪」
「もー、食いしんぼだなぁ~」
「へへ~肉まん大好き」
「じゃあ決まりだね。あ、もうすぐ練習始まるみたい」
「やばっ、着替えないと!」
「じゃあまた、終わったら自販機のとこでね」

そう約束してレッスンに臨むあたしたち。レッスン後が楽しみ…でもそう簡単にはいかなかった。
今回の曲の踊りはすごくハード。何しろあの夏先生が考えてくれた振り付けだし、
さらに映画の主題歌ということで、あっちこっちでステージを披露することが予想されるので、先生たちの指導もこれまでよりも一段と厳しい。
指先、つま先までの細かい振り付けに加え、一瞬一瞬の表情でもチェックされる。
一見簡単そうに見える振り付けだけど、それだけに一つ一つのポイントをしっかりしないと、途端にダメになってしまうのだそうだ。
そんなハードなレッスン、これまでレッスンを積んできたあたしたちでも、練習が終わって先生たちが退出していった瞬間にへたり込んでしまうほど。
もちろんBerryz工房がもっともっと上に行くためには必要なことだとはみんなわかってるので、文句は言わない。
時間も遅いので、みんな更衣室で着替え、明日のために各自家路に着く。
あたしも着替えて、更衣室と出口の間にある自販機の前に向かう。まぁさんは一足先にそこに着いていて、ソファーに座っていた。

「ごめんね、待った?」
「うぅん、気にしないで」
「待つのが好きだから?」
「うん」

まぁさんってやっぱりぽわ~んとしてる。なんか癒し系って感じ。
でもホントに待つのを楽しんでるみたい。不思議なので聞いてみた。

「待つのが好きってどういうこと?」
「うん。お手紙でも人でも、待ってる間にいろいろ考えられるじゃない?」
「いろいろ」
「今頃どんなこと書いてるのかな、とか、今頃どのへんにいるのかな、とか」
「へぇ~」
「待てば待つほど、楽しいよ」

優しく微笑みながら、諭すように語るまぁさん。その姿はなんか…

「まぁさんってさ、りーちゃんがままって呼んでるけど、ホントにママみたいだね…」
「ふふっ、じゃあ熊井ちゃんもあたしの子供になる?」
「え?いいのかな」
「いいよいいよ。なる?」
「なるなる♪」
「じゃあ新しく名前をつけないと。えーとねぇ…"くま子"ってどう?」
「え~また熊~?なんかな~」
「いいじゃん。ほら、くま子おいで~」
「はぁ~い、ママ」

甘えてみる。周りに人がいないので、ソファーに横になって、まぁさんに膝枕してもらっちゃったりもして。
ホントにママの膝みたいで気持ちいい…。まぁさんは優しくあたしの頭を撫でてくれる。
いつもはあたしがちーやももちにやってあげてることだけど、人にされるとこんなに気持ちいいなんて。
練習の疲れもあって、いつしかあたしはうとうと…。




「寝ちゃったかぁ」

膝の上ですやすや寝息を立てる熊井ちゃん。立っているときはあたしより背の高い、
スーパー小学生って表現が似合うけど、こうして見るとホントにただの子供…いや

「普通じゃ、ないか」

すごく長い手足、ちょっと寒いので丸まってはいるけどそれでも十分おっきな身体、
そしてBerryz工房の中でも美形度トップクラスの端正な顔立ち。
ホントにこの子は見ていて飽きない。いや、飽きないどころじゃなくて…見ててドキドキして…

「起きない…よね」

知らず知らずのうちに熊井ちゃんの顔に顔を近づけちゃう。あたしは何をしてるんだろう。
顔を覗き込む…にしても、顔を近づけすぎちゃってる。何しようとしてるのか、自分でもわかってる。
でも、止められない。

「あたし…あたしも、ずっと好きだったんだよ…」

そう。遡れば『スッペシャル ジェネレ~ション』のとき、一緒のショットの撮影で腕を組んだとき、
あのとき熊井ちゃんの少年とも少女ともつかない魅力の虜になったんだ。
それに、Berryzでも、入ったばかりの中学でも、大柄で力持ちで食いしん坊で、
それをキャラというか持ちネタにはしていたけれど、でもやっぱりあたしも心のどこかで女の子として扱ってほしかった。
そんなときに熊井ちゃんとの撮影。撮影の後、熊井ちゃんはこう言ってくれた。

「まぁさんってすっごく女の子って感じだね!」
「え~?あたしがぁ?」
「だってさ、すっごく柔らかい。女の子の身体って感じ」
「柔らかいってぷにぷにしてるってこと?それもなぁ…二の腕だってこんな太いのヤだ」
「えー、あたしはスキだよ」(ぷにぷに)
「ちょ、ちょっとぉ」
「気持ちいい~」(ぷにぷに)
「や、くすぐったい、やめて~!」
「え~い」(ぷにぷに)

あのとき、ときめいた。無邪気にあたしに顔を寄せてきて、触れてくる熊井ちゃんに。
見た目はすっごく大人っぽくて、でもホントはすごく子供っぽくて。そのアンバランスさがたまんなかった。
そしてそれから数ヶ月。あたしにはいつも甘えてくるりーちゃんがいて、熊井ちゃんは千奈美や桃に追いかけられてて。
あの気持ちは、だから、消した。消したつもりだった。だって千奈美や桃が、友達が熊井ちゃんのこと好きだって知っているんだもの。
あたしは気持ちを心の奥底に押し込めることにした。
熊井ちゃんと一緒のグループで、近くにいられればそれだけでいいって、そう思うことにした。そうしてきた。

でも…

膝の上の熊井ちゃんを、その顔を眺めながらそんなことを思い出す。
気持ちは抑えてきた。でも今それを抑える必要があるんだろうか。数ヶ月ぶりにめぐってきた、2人だけの時間。
…チャンス!ちょっとだけ、ちょっとだけイタズラするくらいならわからないんじゃないのかな。
いや、あたしの力なら、むしろここで一気に、千奈美や桃を抜いて熊井ちゃんに迫ることだって…!
そう思って改めて熊井ちゃんの顔を、いつもかわいい形に開く唇を見つめる。
知らず知らずのうちに狙いを定める。自分のそれを寄せていく。
もう少しでお互いが触れあいそうになり、あたしも目を閉じる…そのとき。

「ママ…」

熊井ちゃんの寝言。ただの寝言。でもあたしには…すごく響いた。はっとした。
そうだ。熊井ちゃんは今あたしを「ママ」って完全に信頼して、身を預けてくれてるんだった。
それをあたしは、こっそり…ダメダメ。そんなことやっちゃダメだよね。危ないところだったよ。
でも、おかげで目が覚めた。
熊井ちゃん、ちょっぴり甘酸っぱい気持ちを、思い出をありがとね。
あたしはこれからも友達として熊井ちゃんを助けていくよ。お手紙の交換もとっても楽しいし。きっとそれが一番いいんだよね。
まだちょっと悲しいけど、自分の気持ちに、やっと整理がついた気がした。



「呪縛は解けた?まぁさん」



顔を上げると、そこにはいつのまにかみやが立っていた。
あたしが考え事しているうちに来ていたみたい。あたし考え事すると周りが見えなくなるからなぁ。
ところで…

「呪縛?」
「うん。恋の呪縛。熊井ちゃんに恋してたんでしょ?」
「え。そ、そんな」
「梨沙子が言ってたよ。"ままは熊井ちゃんのことが好きみたい"って」
「き、気付かれてたんだ…」
「でも、気持ちの整理がついたみたいだね」
「うん」
「あの歌の結末もこんな感じなのかな?」
「どうなんだろう…」
「ま、きっと正解はそれぞれ違うんだろうね、人によって」
「みやはオトナだね…」
「まぁさんだっていろいろ考えてて、オトナだよ」
「そっかな」
「今日熊井ちゃんにアドバイスしたの、まぁさんでしょ?」
「あれ?バレてた?」
「いつもと熊井ちゃんの様子が違ったもん。こりゃまぁさんが手紙で何か教え込んだなー、って」
「さすがみや。見抜かれてたかー」
「そりゃあもう。オトナですから」
「じゃあオトナ同士、がんばろーね♪」
「そうだねっ♪」

微笑みあうあたしたち。と、そのとき。

「ママぁ…大好き…」

絶妙なタイミングで、膝の上の"コドモ"が再び寝言をもらした。

「…」
「…」
「…ぷっ」
「…く、くくく」
「あはははは!」
「も~、何この子~!」
「かわいい~!あたしもこんな子供ほし~い」
「だめ~♪くま子はあたしのだから~」
「いいじゃ~ん。ちょっとあたしにも抱かせてよ~」

こらえきれず笑うあたしたち。するとその声で目を覚ます熊井ちゃん。

「…ふぇ?あれ、なんでみやがいるの?」

きょとんとした顔の熊井ちゃん。あたしたちはそれを見て…

「な、なんでもないよ、あはははは!」
「熊井ちゃんかわいい~!あはははは!」
「?」

自販機コーナーにあたしたちの笑い声が響き渡った。楽しい。すっごく楽しい。やっぱりこれでよかったんだと思う。
さっきのみやとの話じゃないけど、一つオトナになれた感じがした。
みやと熊井ちゃんと3人で一緒に帰って、約束したとおり肉まんをおごってもらって、そして分かれ道でお別れ。

「まぁさんばいばーい!」
「じゃーねー!まぁさん!また明日~!あ、お手紙は今日こそ書くからね!」
「うん。また明日ね~!熊井ちゃんお手紙楽しみにしてるね!」

手を振って熊井ちゃんたちを見送る。そして

「ありがとう。熊井ちゃん」

そうつぶやく。もう季節は冬だけど、心の中は、なぜかとってもあったかいものでいっぱいになっていた。



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