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  誰と過ごすの?(千奈美編) 

Berryz工房 2006/08/07 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
クリスマス作品。こちらは千奈美編です。前半部は友理奈、後半部は千奈美の視点です。

2005年12月25日掲載。

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「はい。じゃあちょっと早いけど今日はおしまい!」
「おつかれさまでした~」

ダンスレッスンが終わる。今はお正月のコンサートに向けてのレッスンの毎日。
学校も冬休みになったし、これから追い込みの一週間。あたしたちBerryz工房にとっては冬休みもお休みとはとても言えない。
むしろレッスンに、またどうしても遅れがちなお勉強を取り戻すために毎日毎日とっても忙しい。
だからあたしたちにはクリスマスなんて、家で家族とパーティーすることはできても、
友達とか、ましてやその…好きな人とかと一緒に遊びに行くなんてことはかなわぬ夢だと思ってた。
でもお仕事は、レッスンはあたしたちが望んで受けているんだから、
Berryz工房としてがんばる機会を望んで、せっかく与えられているんだからがんばらないと。
そう思って今日も一日過ぎると思ってた。なのに…

「はぁ、中途半端な時間に終わっちゃったなぁ」

タオルや飲み物なんかを片付けながら、あたし熊井友理奈はフロアの隅っこに座り込む。
今日はレッスンの日だって思ってたのに、思いのほかレッスンが早く終わっちゃってヒマになっちゃった。
外を見ればまだ日が沈んだばかりの時間だし…どうしよう。
クラスの友達のパーティーは、どうせ行けないと思っていたから断っちゃったし…そうなるとやっぱりメンバーと一緒に過ごすことになるのかな。
そういえばさっきからちらちらと2人分の視線を感じるし…

ちら、と見ると、やはりそう。フロアをうろうろしながらちらちら目線を送ってきているちょっと挙動不審なちーと、
あたしの後ろからこっそり忍び寄ってきていて、でもあたしが振り向くと「だるまさんがころんだ」みたいに素知らぬふりをする、こちらも負けじと挙動不審なももちだ。
二人ともすっごく熱い視線を送ってきてる。最初のうちはあえて相手にしてなかったんだけど、
焦れてきたのかだんだんちーがこっちを見る回数が増えてきてるし、
ももちもあと少しであたしの背中に飛びつける距離まで来てる。時間がない!そろそろ決断しないと…どうしよう。
えーと…




「ちー!どっか遊びに行こうよ♪」
「え、熊井ちゃん、あた、あたしでいいの?」

待ち焦がれていたはずなのに噛んじゃう。だってだって正直選ばれるなんて思ってなかったんだもん。
えー、熊井ちゃんとデート?それもイヴに?どうしよどうしよ。
そりゃ一緒がいいなーって思ってたけど、どうせレッスンで無理だと思ってたし、
それにこないだラジオでは熊井ちゃんと長身カップルでデートしてみたいとか言ったけど、千奈美デートコースとか知らないよ。
でも千奈美の方が年上だから…やっぱ、リードしなくちゃいけないんだよねぇ。うーん、どうしよう。困ったぞぉ。

「ねぇねぇ、行こう?」

熊井ちゃんがさらに誘ってくる。こうなったら当たって砕けろだぁー!

「うん。行こ行こっ!」

二つ返事で熊井ちゃんの誘いをOK。そういえばライバルの桃はどうしたんだろう。
目の前で熊井ちゃんを取っちゃったけど…あたしだったら凹んじゃうけど…桃に視線を移してみる。すると…

「え?今夜はごちそう?うん、すぐ帰る!すぐ帰るからまだ食べないでね!」

携帯で顔を輝かせている桃。桃のおうちは今夜はごちそうみたい。
食べ物大好きな桃、バタバタと荷物をまとめだす。

「じゃあ、お先に失礼しま~す♪」

そう言ってレッスン場を後にする桃。レッスン場を見回してみると残っているメンバー、もう帰っちゃったメンバーとまちまち。
千奈美と熊井ちゃんも着替えて出口へ。でも熊井ちゃんはレッスン場に忘れ物をしていったん取りに戻ったので、千奈美だけ先に出口に到着。
たまにスタッフの人が出入りするたびに外の風が吹き込む。かじかむ手を息を吹きかけて温めていると…

「ごめんね、待った?」
「うぅん、千奈美も今着いたとこだから」

熊井ちゃんが走ってきた。あ、なんかこれってデートみたい…。早くもぽわ~んとしちゃいそう…。

「じゃあ行こうか」
「うん」

そう言って扉に手をかける熊井ちゃん。なんか既にリードされてる感じ…やっぱ熊井ちゃんの方が男前だなぁ。はぁ。
…あ、じゃあ、それを逆手に取ってみよう!

「ねぇねぇ熊井ちゃん」
「なに?ちー」

あーやっぱ恥ずかしいなー。でも言いかけたんだから言っちゃう!クリスマスだもん!

「あのね、腕…組んでもいい?」

あー言っちゃったー!やっぱいきなりすぎたかな。断られちゃうかな。せっかく2人っきりなのになんか空気おかしくなっちゃうかな。
いつもの何倍かわからない速さでいろんな考えが頭の中をぐるぐる回る。でも次の瞬間そんなことはムダだったってわかった。

「うん。いいよ」

熊井ちゃんはこともなげに答える。うわぁ、カッコいい…熊井ちゃんに見とれそうになりながらも、
何とか熊井ちゃんのちょっと曲げた左腕に自分の腕をくぐらせる。
熊井ちゃんの右手が扉を開く。ちょうどそのとき外の風が強くなって、12月の風が本格的に吹き込む。

「わ!寒い!」
「寒いよ~!」

思わず、信じてほしいんですけどほんとに思わず、千奈美は熊井ちゃんに寄り添っちゃった。
桃なんかが見たら迷わず割り込んできそうだけど、幸い周りには誰もいなくて、千奈美と熊井ちゃんの2人だけ。
あたしはドキドキしたんだけど、熊井ちゃんはどうなんだろ。寄り添ったまま見上げ…ようとしたそのとき!



ぐいっ



「く、熊井ちゃん…?」
「大丈夫?ちー寒くなかった?」

有無を言わさず抱き寄せられちゃった。風からあたしを守ろうとしてくれた熊井ちゃん、
優しく微笑みながらあたしを見つめてくる…それも、抱き寄せられているから息のかかるくらいの距離で。
外の風は冷たいけど、千奈美は幸せで溶けてしまいそう…。

「ちー?」
「う、うぅん大丈夫!さぁ行こっ!」

そうだ。まだレッスン場を出てもいないよ。これから熊井ちゃんといろいろ楽しいことするんだから…。

そしてすっかりクリスマスモードの街に出た熊井ちゃんと千奈美。
特にどこに行くって決めていたわけではないけれど、熊井ちゃんが文字通り引っ張っていってくれる。ほんとに頼りになるカレって感じ…。
6時になる前に慌てて記念にプリクラ(もちろんポーズはでっかいW!)を撮りに寄ったゲームセンターでは隣の機械から

「もう!Today Is My Birthday!とか書いちゃって!それじゃ今日が梨沙子の誕生日になっちゃうじゃん!」
「あ、そっか。ごめんみや~」
「…まぁ、大変なことがあっても、梨沙子がいるからあたしはやっていけるんだけど…」
「みや?」
「そういう意味ではあたしにとってメシアみたいなもんかな、梨沙子は」
「めしや?…ごはん?元気のみなもとってこと?」
「…もういいわ。うん、そういうこと。よしよし♪」
「へへ~。みや大好き~」
「わわっ!ちょ、こんなところでっ」

なんて声も聞こえてきて思わず吹き出しちゃったし、あとちょっと離れたところにその様子をうかがうまぁさんと、
その背中に乗っかったキャプテンがいたりもしてすっごく面白かった。
みんなクリスマスは大変なんだなぁ…なんて思ったり。

そうして何ヶ所かで遊んだ後、休憩でイルミネーションの谷間のベンチに座る千奈美たち。
缶ジュースを買ってきて、それを飲みながら2人寄り添って、今日楽しかったよね、とか、冬休みの宿題たいへんだよねー、とか…そんなお話。
そうやってお話していると、熊井ちゃんがふっと真顔になった。ん?どうしたのかな?
熊井ちゃんが口を開く。

「ちーってさ、やっぱり…」
「やっぱり…何?熊井ちゃん」
「あのさ…」

言葉を切る熊井ちゃん。な、なんだろう。ドキドキするよぉ。視線はずっとあたしに向けたまま。
あの、そんなにじっと見つめられると…それだけで、千奈美…千奈美…!でも、ホントの衝撃はこの後。

「かわいいよね」

ち、千奈美がかわいい?熊井ちゃんが今そう言ってくれたの?思わず聞き直しちゃう。

「え、千奈美…が?」

それに対して熊井ちゃんがほっぺを赤くしながらも説明してくれる。

「うん。ちー、今年さ、春に髪切ったじゃない?」
「うん」
「あのときね、わ!ボーイッシュだけどすごいカワイイ!って、思ったんだ」
「そ、それほどでも…」

熊井ちゃんにここまでほめられたのってそういえばあんまりない気がする。すっごく新鮮。すっごく嬉しい!

「あと、今の曲の"のにゅ。"ってのもすっごくいいなぁ、って」
「熊井ちゃん…」

知らず知らずのうちに両手を胸の前で組んで、熊井ちゃんを見つめちゃっている千奈美。
どうしよう。胸がドキドキする。顔がどんどん熱くなってくるのが自分でもわかる。

「ねぇ、ちー」
「ん…?」

熊井ちゃんがまた言葉を切った。またこっちを見つめてくる。だんだん熊井ちゃんの顔が大きくなって…
って、熊井ちゃんが千奈美に顔を寄せてきてる!え?目を見つめながら顔を寄せるって、これって…!?
そ、そんな。まだ心の準備が。こ、こんなところで!?熊井ちゃんダイタンすぎるよぉ!!!
パニックの千奈美のことなんておかまいなしで、どんどん熊井ちゃんが顔を寄せてくる。
ち、千奈美こんなこと初めて…どうすればいいの?目を閉じるんだっけ、あわわわわ。
とにかくぎゅっと目を閉じる。く、熊井ちゃんに捧げます!千奈美のファーストキ…



こつん



「え?」

驚いて目を開く。熊井ちゃんの顔は確かに千奈美の顔に触れたけど、思っていたところよりはだいぶ上…っていうかおでこだよ熊井ちゃん!
熊井ちゃんのおでこが千奈美のおでこにくっついてる。ど、どういうことなんだろ…

「ちー、顔赤いよ?おでこも熱いし…熱でもあるんじゃない?」
「ね、熱ぅ!?」

なんだろ。熊井ちゃんは千奈美のお熱を測ろうとしてただけだったみたい…
なぁんだぁ。ドキドキして損した…。もぅ!熊井ちゃんったらニブいんだから!

「じゃあそろそろ帰ろっか。大事なちーがカゼ引いたりしたらヤだし」

大事。うん。そう言ってくれるのはうれしいよ。でもさぁ…クリスマスなんだから、もうちょっとなんかほしいな…。
そう思ったとき、今日レッスン場で熊井ちゃんに誘われたときに考えていたことを思い出した。

"千奈美の方が年上だから…やっぱ、リードしなくちゃいけないんだよねぇ"

そうだ。何でもかんでも熊井ちゃん任せじゃダメだよ。千奈美の方が年上なんだもん。
今日のデートはずっと熊井ちゃんにリードしてもらってたけど、こんな大事な場面、千奈美がリードしなきゃ!
熊井ちゃんの顔は相変わらず千奈美の目の前。徳永千奈美、いっちゃいます!

「ねぇ、熊井ちゃん」
「何…んっ!」

千奈美の方を見た熊井ちゃんの唇にすばやく自分の唇を重ねる。
キスされたこともないのに、初めてなのに千奈美からしちゃった♪
熊井ちゃんはびっくりしてたけど、やがて笑顔に戻ってこう言ってくれた。

「なんか…初めてなのに奪われちゃったって感じだけど、ちーにならいっかぁ」

うれしすぎる!やっぱり熊井ちゃんとちーは相思相愛なんだね!千奈美にとってはこれが何よりのクリスマスプレゼント。

「熊井ちゃん…」
「へへっ。ちー、大好きだよ♪」
「あたしも!熊井ちゃん大好きっ!」

熊井ちゃんに抱きついちゃう。幸せ。あ、でも幸せになったらちょっとおなかが減っちゃった。
もうちょっとしたら2人でおーどんを食べに行きたいな。でももうちょっと、もうちょっとだけこのままで。
だってさっき飲んだ午後の紅茶のレモン味を、ファーストキスの味を、もう少しの間だけ感じていたいんだもん…。



从 ´∇`从<おわり♪
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