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  桃子と友理奈のバレンタイン'06 

Berryz工房 2006/08/07 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
バレンタインものです。この次の「千奈美と友理奈のバレンタイン'06」と前後編でつながっています。
こちらの前編では嗣永桃子と熊井友理奈のCP「ももゆり」色が強め。なお物語は桃子視点で進みます。

2006年2月13日掲載。

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「よし、かんせ~い!」

台所で思わず声を上げちゃう。でもしょうがないよね。やっとこのあたし、嗣永桃子特製チョコができたんだもん。
最初自分で作ってみたらなんか味がおかしかったからお母さんに手伝ってもらって作り直してやっとできたこのチョコレート!
途中でちょこっと味見してみたけどとってもおいしい!これをかわいらしくラッピングして…と。
これさえあればコドモなゆりのハートはあたしのもの。
そしたらあんなことして…こんなことして…だめ。どうしてもニヤニヤしちゃう。

「ゆり…待っててね…んふふふふっ」

思わず独り言。するとお母さんは顔を引きつらせながら台所から出ていっちゃった。
どうしたんだろ。まぁいいや。今のあたしにはゆりが一番だもん。

そして日が替わって今日はバレンタイン!学校でも男子も女子も何となくみんなそわそわ。
授業中もちらちら好きな人を見てる人多すぎ。あたしなんか授業中ずっと集中してたのにね。
…え?もちろん「チョコを渡したらゆりと何しよう、何してもらおう」って集中して考えてたんですよ?他に何が?

放課後。マネージャーさんの車に乗せてもらってレッスン場へ。

「今は春のコンサートのための練習中だからバレンタイン返上でがんばってね!」

ってマネージャーさんは言うけど、あたしにとってはこっちの方がむしろ好都合。
だって14日にレッスンがあるってことは必ずゆりと会えるってことだもん☆

レッスンはいつも通り始まって、終わった。さすがにもう踊れる曲自体が増えたし、
初めての曲でもダンスで使われるステップとか動作とかって基本は同じものが多いから、練習してもできなくて困る、ってことはまずない。
Berryz工房も3年目、ちょっと余裕も出てきたし今年はツアーもいいけどテレビとかにも出たいなー。
そんなことを考えながら汗をタオルで拭いて、着替える。チョコを取り出し、ちょっと前に部屋を出ていったゆりを探す。
自販機の前にはいないし、レッスン場にもいない。どこに行っちゃったのかな?
廊下を歩き回ってもどこにもいない。この階にはいないのかな?電話してみようかな…そう思っていたとき

ぎぎぃ…ばたん。

階段の上の方から扉の閉まる音。ゆりかな?そのまま行こうか…と思ったけれど、屋上は寒いので一旦控え室に上着を取りに戻る。
風邪引いたら大変だもんね、あたしたちは歌手なんだから。控え室を出て階段を上り、屋上へ通じる扉の前にまで来た。
上着を着て扉を開けると…びゅっ!

「きゃっ!」

外の風が吹き込んできた。今日はちょっと暖かかったとはいえそれでも外は外。急に室内から出ると寒い。
そこは薄暗い階段とは別世界。日は暮れていたけれど、ビルの上に設置された広告の看板がライトアップされているのですごく明るくて、
しかも夜の闇の中、周りの建物の色とりどりのネオンと合わさってなんかちょっとしたコンサート会場みたい。
その街中のステージの中央に立つすらりとした女性…ゆりだ。歌っている。
Berryz工房の歌じゃない。バラード?とにかくあたしの知らない歌を歌うゆり。

きれい…。

思わず見とれてしまう。ほとんど毎日会っているはずなのに。見慣れているはずなのに。
あたしには、そこにいたのは日本一の、いや世界一の歌姫のように見えた。
正直歌は元歌を知らないあたしにはうまいかどうかわかんないんだけど、でもとにかくきれいだった。
そうして何分経ったかな…

「も、ももち?いつからそこにいたの?」

ゆりが気付いた。気付いてくれたのがうれしい反面、もう"熊井友理奈ソロコンサート"は終わりなんだなぁ、とちょっと寂しい。

「いつからだっけ…忘れちゃった。ゆり、きれいだったよぉ☆」

ゆりはものすごく恥ずかしそう。真っ赤になっちゃってる。夜だったら普段はそんなのわかんないけど、ここはすごく明るいから丸わかり。

「こ、このことは内緒にして!お願い!」

なんかすごくあせってる。別に隠すことでもないと思うんだけど…そう思って無意識に首をかしげていたのか、顔に出たのか。ゆりが続ける。

「ここね、ステージみたいでしょ。ちょっと前からね、レッスンの後とか時間があったらここで歌ってるの」
「でも…歌いたいんだったらみんなとカラオケとか行けばいいんじゃないの?」
「うーんでも…カラオケだと自分だけ歌い続けるわけにもいかないし…ここ広いでしょ?広い場所で思いっきり歌う方が気持ちいいじゃない」
「コンサートみたいで?」
「そうそう!さすがももち、わかってるじゃん。だからここはあたしの内緒の場所なの♪」

なるほどなぁ。確かにコンサートで歌うのって一番気持ちいいけど、それと同じような感じの場所がこんなところにあったのかぁ。
そういえばさっき歌っていた曲ってBerryzのじゃなかったけど…一人で歌えるやつだったみたいだけど、ゆりはソロ願望があるのかな?

「ゆりは…将来ソロになりたいの?」

これ、メンバーの前で言ったら相当面倒なことになりそうだから誰にも聞いてないんだけど、つい口から出ちゃった。
一応質問してはいるけど、こんなとこでこんなことしているからにはゆりもそうなんだろうなぁ…

「ん~よくわかんない」
「あれ」

普通に答えるゆりとズッコけるあたし。ソロにはなりたくないの?あたしはぶっちゃけ…いつかは…って思うこともあるんだけど。

「Berryz工房が一番楽しいから、他はまだよくわかんない」

無邪気に答えるゆり。いいなぁ。あたしはBerryz以外でデビューするならソロがいいけど、こんなゆりとならユニット組んでもいいかもなぁ…。
あたしを裏切ったりとか絶対しないだろうし、何より一緒にいると楽しかったり癒されたりしそう。いいなぁ…。

「そういえばももち、何でこんなところに?」

素敵な未来を妄想していたけれど、ゆりの声で現代に戻された。そうだ。何のためにゆりを探していたのかって、それはもちろん…

「じゃじゃ~ん!桃子特製チョコレート!食べてみて食べてみて♪」
「おー♪くれるの?あたしにくれるの?」

ゆり、とってもうれしそう。作ってきてよかったー。さっそくその場で開け始めるゆり。
歌っておなかもすいてたみたい。このへんはやっぱりコドモだなー。まぁそこが可愛いんだけど。
チョコを取り出して最初の一口を口に運ぶゆり。ドキドキ。

「おいしい!」
「ほんと?」
「うん。すっごくいいよ。あたしの好み」
「あぁ~ゆりぃ~♪」

よかったぁ。お母さんありがとう。もうほんとバレンタインってこの一瞬にかかってるよね。好きな人がチョコを食べてくれるこの一瞬に…。
ゆりはすごく気に入ったらしく、パクパクとあっという間に食べきってくれる。ほんと作ってきてよかったぁ。
あ、安心したらなんかおなかすいちゃった。

「ゆりー、あたしへのチョコはー?」

当然用意してるはずだよね。

「あ、ゴメン!実は学校に忘れてきちゃって…」
「え?そ、そんなぁ…ひ、ひ、ひどい…」
「ご、ごめんね…明日、明日必ず持ってくるから!」
「おなかすいたよぉ…」

うつむくあたし。もちろんこれは演技。ゆりったら一昨年のWスタンバイで自分がやったことすら忘れるくらい慌てちゃって…かわいいっ☆
かわいいゆりを上目でちらっと盗み見ると…気付いちゃった。

唇にチョコついてる…。

教えてあげようかとも思ったけど、あたしがとってあげたいな…あ、いいこと思いついた。
声をさらに小さくする。

「ひどいよぉ…」
「ごめん、ほんとにごめんっ!絶対明日は忘れないからっ!」

思わずあたしに近づいて手を握るゆり。この瞬間を待ってたのっ!
あたしはすばやく行動に移る。相手が長身だから、つま先立ちで背伸びして…

~☆

「も、ももち!?」

さらに慌てているゆり。さっきにも増して真っ赤っ赤。かわいい☆
ファーストキスはレモン味、ってお母さんは言ってたけど、チョコの味のキスってのもなかなかいいよね。。

「おいしかったよ、ゆり」
「ど、どういたしまして」

どういたしまして、だって。ゆりったらおかしい♪
いやーチョコとゆりの唇と両方を味わえて満足満足…と言いたいけど、もう一度味わいたくなっちゃった。

「ねぇゆり…もうちょっとちょうだい」
「え、それって、もう一回…ってこと?」
「うん…だめ?」

ゆりにぴったりくっついて上目遣いでおねだり。あたしの得意技。
これが効いてるっていうのはくっついているゆりの胸が教えてくれる。すっごいどきどきしてるよ。

「お願い…もう一回だけ…いいでしょ…?」
「…うん…」

目をとろんとさせながら、ゆりはかろうじてそれだけ答えた。でもこれで十分っ☆
今度はちょっと身をかがめてくれたゆりの唇に、自分のそれを重ねようとした…そのとき

かたっ

入口の扉の方から何かが落ちる音。びくっとしてあたしたちが振り向いたその先には、
丁寧にラッピングされた包みを床に落としたまま、立ち尽くしている千奈美の姿…!

「ち、ちぃ!」

ゆりが声を上げる。それを合図にしたかのように身を翻して走り去る千奈美。タッタッタ…階段を下りていく音だけがあたしたちには聞こえる。

「ゆり…」
「…ごめんももち!あたし、行かなきゃ!」

駆け出すゆり。あっという間にこのステージにはあたし一人。なんか急に寂しくなったなぁ…あたしも帰ろうっと。
最後にもう一度周りを見渡していこう…とすると、入口近くの床に落ちている包みが目に入った。
さっき千奈美が落としていったもの。箱は無事だけど、床の汚れはついちゃってるし衝撃でリボンがほどけちゃってるしで結構ひどい状態。

「まぁ今日は十分楽しんだし…しょうがない。届けてあげるかな」

包みを手に取り、あたしも建物の中に入ってドアを閉めた。



千奈美と友理奈のバレンタイン'06に続く。
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