スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  YURI-Scene5- 

YURI 2006/08/07 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
数ヶ月ぶりに書いたYURI第五話です。CPとしては夏焼雅と熊井友理奈の「みやゆり」となっています。雅視点からのお話です。

2006年3月27日掲載。

.

「熊井ちゃん遅いなー」

渋谷で熊井ちゃんを待つあたし。いつものお休みには普段なかなか遊べない学校の友達とが多いんだけど、今日は熊井ちゃんとお出かけ。
なんでかっていうと、話は去年にさかのぼる…



「ねぇ熊井ちゃん、いつかさぁ、2人で服買いに行こうよ」
「みやと?うん、行きたいっ!」



アルバム『第②成長記』のジャケット撮影の合間に熊井ちゃんを買い物に誘ってみた。
いつもは熊井ちゃんの周りに千奈美や桃がいるからなかなか難しいんだけど、
あの時は運よくあたしと佐紀ちゃん、そして熊井ちゃんで自由時間があったから、佐紀ちゃんがトイレ行ってる間に誘ってみたの。
熊井ちゃんもOKしてくれたし、嬉しかったな…

「みやってすっごく服のセンスいいよね。楽しみ~」
「へへーありがと。じゃあいろいろ教えてあげるね」
「やったぁ」
「熊井ちゃん、あたしのファッション道についてこれるか~?」
「はいっ!かんとくぅ!」

センスかぁ…そういえばこないだ雑誌の取材で見事Berryz工房の「ファッションセンス王」にも選ばれたんだよね。
別に称号狙っていたわけじゃないけど、洋服選ぶのって普通に楽しいし、
「かわいい」とか「かっこいい」って言われると嬉しいから着るものにも気を使っているかも。
で、その頃からかっこいい系の服を熊井ちゃんと買いに行ってみたいなー、って思ってたんだよね。
「ボーイッシュ王」に一緒に選ばれた熊井ちゃん。熊井ちゃん自身の服のセンスも悪くないし、
あたしとしても、「着てみたいけどあたしの背丈じゃちょっとなぁ…」なアイテムを熊井ちゃんに着てみてもらいたかったし。
結局さっきのやりとりをして、その後しばらくはお正月のコンサートとか新学期始まったりとかで忙しかったんだけど、
春のコンサートを目前に控えてやっと自由な日ができたから、その1日をそのお買い物にあてることにした。
まぁできればお買い物だけじゃなくていろいろ遊びたいなーとも思ってるんだけど。



「熊井ちゃん遅いなー」



で、今渋谷のハチ公前で待つあたしがいるってわけ。でも待ち人はなかなか来ない。
まぁそれなりに長い時間いてもいい場所を選んでるんだけどね。
ここって待ち合わせの人だらけのベタな場所だけど、それだけにみんないちいち周りを見る余裕ないからあんまりバレたくないうちらにとっては便利。
中途半端に穴場なとこだとかえってバレちゃうもんね。ここの利点に気付いたのもあたし。
ただでさえあの長身と顔立ちで目立つ熊井ちゃんと会うんだから場所とかは気をつけなくっちゃ。あたしの方が年上なんだし。
と、そこへ…

「ごめん!みや待った?」

人の間を縫うようにして熊井ちゃんがやってきた。声だけ聞くとホントに歳相応な感じ。
でもびっくりして思わず目の前のハチ公のお尻に頭突きしそうになる。も、もうちょっと気をつけてよ。ほら、周りもこっち見てるじゃん…

「熊井ちゃん遅い!ってか声大きいよ」
「あ…そっか」

ハッとする熊井ちゃん。ちらっとあたしたちのことを見た周りの人もすぐに自分のことに戻る。
東京は、都心は人が多いのにみんな冷たいってうちの地元の人は言ってたけど、
あんまり他人に干渉しないっていう人が多いのはありがたいかも。

「ごめんね…」
「いいよいいよ。じゃ、行こ」

歩き出すあたしたち。熊井ちゃんの左腕が開いていたので何となく腕をからめてみる。
熊井ちゃんはちょっとこっちを見たけど別に振りほどく気配はないみたい。よかった。

「熊井ちゃんってやっぱり背高いねー」
「高くなっちゃったねー」
「にょきにょきチャンピオンだよね」
「すごいよねー」
「あはっ、何それ。ひとごとみたいじゃん」
「だって伸びようとして伸びてるわけじゃないもん」
「そういやそうだよね。あはは」

たわいない会話をしながら街を歩く。その間もすれ違う人の服装とか何気なく見ちゃう。
「あの人のあの組み合わせいいな」とか「あんな小物もあるのね」とか。
歌手じゃなかったらあたし洋服関係のお仕事もよかったかもなぁ…

「みやってほんとおしゃれだね」

会話の合間、熊井ちゃんが不意にそう言う。

「え?そうかな」
「うん。研究に余念がないって感じ」

気付かれてた。あたしそんなにじろじろ見てたのかな…?
熊井ちゃんとの会話に集中して、ファッションチェックは目に留まった人を何となくやってただけのつもりなんだけど…

「あ、別にあたしとの会話に集中してない!って言ってるわけじゃないよ」
「うん…でも気付かれてたかー」
「ときどきあたしから一瞬視線がそれてたりしたから…」

鋭い。熊井ちゃんすごい鋭い。「ピュア王」なのに、いや「ピュア王」だからこそ気付くのかな。

「ごめんねー。じゃあこれから熊井ちゃんのことだけ見るね」
「そんな、いいのに。それになんか今の告白みたいだよ」
「そういえば…そうかも」
「ヘンなの」
「ヘンだー!」

路上で思わず立ち止まって、2人して笑っちゃう。ちょっとの間笑った後、熊井ちゃんを見つめてみる。

「どうしたの?」

笑うのをやめて不思議そうにあたしを見る熊井ちゃん。ちょっとからかってやろっと。

「告白だったらどうするー?」
「えー、みやがあたしにー?」
「熊井ちゃんかっこいいしさぁ、優しいし…ステキだよ」
「そんなこと全然ないし…」
「あと、熊井ちゃんの歌い方…あたし大好きだよ…」
「みや…」
「…つきあって?」

そう言って熊井ちゃんを微笑みながら見つめる。なんか口説いてるみたい…みたいって言うかそのものか。

「そ、そんなこと言われて…も…」

赤くなる熊井ちゃん。かわいい…こりゃ千奈美も桃も夢中になるわ。ほんとにピュアなんだなぁ。

「ふふっ、つきあってってのは冗談だよ。ビックリしたー?」
「な、なんだ冗談かぁ…もー!すっごいドキドキしたじゃんかぁ」
「でもホントに熊井ちゃんのことステキだと思うよ」
「ありがと。嬉しいなー。あたしもみやのこと好きだよー」

また笑い出しながらあたしにしなだれかかってくる熊井ちゃん。あ、おっきいのにこんなに軽いんだ…今度はこっちがちょっとドキッとしたかも。
で、道の真ん中でふざけていてもジャマなので再び歩き出すことにしたけど、
熊井ちゃんがなんか笑いすぎたのかドキドキしすぎたのかヘロヘロになってたので、
今度は何となく熊井ちゃんの手を取ってみる。またちょっと熊井ちゃんは意識したみたいだけど、まぁいいや。
一緒に歩き出し、目的のお店に到着。中に入る。

「こんにちは~」
「いらっしゃいませ…あ、雅ちゃんひさしぶりー」

何回か来て、かなり仲良くなった店のお姉さんにあいさつ。最近来てなかったのでちょっと世間話。
毎回楽しいんだよね、これが。そしてちょっとしてから、それを見ていた熊井ちゃんが一言。

「お兄さんじゃないんだね」

あたしとお姉さんは顔を見合わせる。

「え?どういうこと?」
「みやのあの歌あるじゃん、梨沙子と歌ってた…」

『TODAY IS MY BIRTHDAY』か…そういえばそうだね。今まで気付かなかった。ってか熊井ちゃんはほんとに独特な感性をしてるなぁ。

「で、今日はどんなのがほしいの?」
「ちょっとかっこいい感じの。えっと…」

お姉さんにイメージを伝える。「これこれこういうのがほしい」って言わなくても、
このお姉さんはあたしの欲しいもののイメージを正確に受け取ってくれるから嬉しい。
多分この人なら熊井ちゃんにも素敵な服を用意してくれるはず。

「今日は彼女にも服を見てあげてほしいんですけど…」
「へぇ~…この子が前言ってた子?」
「あ、はい」
「前言ってた?」

熊井ちゃんが首をかしげた。あたしとお姉さんは思わず微笑んじゃう。
でも次の瞬間お姉さんがとんでもないことを言いだしちゃったの!

「そうそう。雅ちゃんがね『すっごくスタイルがよくて、でもすっごくかわいらしい女の子がいるから今度連れて来ます!』って何回も言っててね」
「ちょ、ちょっとぉ!」
「ホントのことでしょ?もう目をキラッキラさせて語ってた雅ちゃん、かわいかったなー」
「もういいじゃないですか~!は、早く熊井ちゃんにも服見てあげてくださいよ」
「はいはい。真っ赤になっちゃって。おーかわいい♪」

そう言うとお姉さんは熊井ちゃんの方についてくれた。あたしはあたしで店の中を歩き回って服を選ぶ。
お店で買い物するときには各自自由行動って感じのほうが気楽でいいもんね。
だいたい買うものを決めた頃、試着室の方から声がした。

「どう?」
「あ、大丈夫です。ちょうどいい感じで」

熊井ちゃんが服選んだみたい。見に行こうっと。
買い物を中断して、試着室の前、お姉さんの横に行く。

「お、観客の雅ちゃんが来たよー。友理奈ちゃん」
「えー…なんか恥ずかしいなぁ…」

試着室の中から聞こえる熊井ちゃんの声。どんな熊井ちゃんが出てくるんだろ。ドキドキするなぁ。

「どんなの選んだんですか?」
「いやー、この子身長あるからいろいろできるね。超かっこいいよ」

ニヤリと笑うお姉さん。これは相当期待できそう!
さっきよりさらにドキドキしながら熊井ちゃんが出てくるのを待つ。コンサートでファンの人もこんな気持ちなのかな。
そして…

「お待たせー」

カーテンが開いた。コンサートならお客さんのボルテージが急上昇するところ。でも、あたしは…



「…すごい…」



何とかその一言を言うのがせいいっぱい。熊井ちゃん…めちゃくちゃかっこいい…
もちろん今までも十分かっこよかったけど、何て言うんだろ、言葉が思いつかない。
とにかく元から最高にかっこいい熊井ちゃんの良さが、服でさらに最高って言うか…あぁ、ステキ…永遠に見ていたい…

「…雅ちゃん?雅ちゃん!」

お姉さんの声で永遠はすぐに断ち切られた。ちょっとムッとする。でも

「そんなマンガみたいに10秒以上固まらなくても」

とお姉さんに言われちゃって…恥ずかしい!そ、そんなにボーッとしてたの?あたし。
さっきの「永遠」のときには感じなかったけど、今はめっちゃドキドキしてる。

「うん、サイズもいいみたいだね」
「はい。ぴったりです!」
「じゃあこれでいい?」
「はい、あっでも…全部だと高いかな…?」
「初めてだし、雅ちゃんの友達だし安くしとくよ」
「ほんとにいいんですか?」
「いいよ。それにそんだけうちの服が似合ってる姿見せてもらって、こっちも嬉しいし」
「ありがとうございます!」
「じゃあまた着替え終わったら声かけてね」
「はーい」

そして熊井ちゃんはまた試着室に戻った。でもあたしの胸のドキドキは治まらない。
それは熊井ちゃんが出てきてからも、会計を済ませた後も、お店を出た後も…。

「みや、どうしたの?さっきからヘンだよ?」

やっぱり鋭い。すぐ気付かれる。でもしょうがないよね…さっきまでは気軽に手をつなげたり腕をからめたりできたのに、今はできない。
なんかすっごい意識しちゃったって言うか…あぁっ、こんなこと考えてるからまた余計にドキドキしてきたぁ~!
でもなんとか平静を装わないと…熊井ちゃんに「ヘンな子」って思われたくないもん。

「なんでもないよ」
「ほんとに?なんか顔赤いけど…」
「ほ、ほら、今日日差し結構強いじゃん?ちょっと暑くなってきちゃって」

暑くなってきてるのは事実。暑くというより熱く、だけど。

「そうだよねー。今日天気いいもんね」

何とかごまかせた…みたい。でも次の瞬間

「あ、じゃあアイスでも買おうよ、あそこにお店あるし!」

あたしの手を取って歩き出す熊井ちゃん。手をつないだ瞬間ドキドキがさらに…さっきまでは全然なんてことなかったのに…
そんなあたしのことを知ってか知らずかどんどん引っ張っていく熊井ちゃん。
あたしのことを思ってくれてるのかな…それとも単にアイス食べたいだけかな…。
お店でアイスを買って、食べる。でも当然だけどあたしの火照りは治まらない。

「あ、みや、アイスついてるよ」
「え?」

ドキドキして熊井ちゃんのほうを見られず、アイスに集中してたあたしに熊井ちゃんが声をかける。
あ、と思うまもなく…

「これでよしっと」
「あ…」

熊井ちゃんはあたしの口元からアイスを指で取り、そのまま舐めた。普通な動作、普通なこと。
なのになんだろう、すっごくドキドキする。思わず熊井ちゃんと目が合う。ドキドキがさらに増す。どうしちゃったの?あたし。

「みや…また赤いよ?」

この日、この後も熊井ちゃんはいろいろ気遣ってくれた。
でもそのたびにあたしはドキドキしちゃってもうどうしようもなかった。
そして翌日…

「すっごーい!」
「かっこいー!熊井ちゃんどこで買ったのー?」

一晩経って、さすがにちょっとは落ち着いたあたしがレッスン場に着くと、そこにはさっそくあの服を着てきた熊井ちゃんの姿があった。
メンバーはもちろん、スタッフさん、さらにはスタイリストさんまでみんなが熊井ちゃんを見てる。
そんな中…

「あ、みやおはよう!」
「おはよう、梨沙子」
「熊井ちゃんがすごくかっこよくて…あ、みやも今日はなんかいつもよりさらにすっごいおしゃれさんだねー」

走り寄ってきた梨沙子が気付いてくれる。やっぱり嬉しいよね。

「そうそう。熊井ちゃんとね、昨日買ってきたの」
「2人で?」
「うん」
「…そっか」
「ん?どうしたの?」
「うぅん、なんでもない。また一緒に買い物行こうね!」
「そうだね」
「待ってるから!」

そう言うとレッスン場を出て行く梨沙子。先に着替えに行ったのかな?
なんかいつもと違うような感じがする…どうしたんだろう。心配だなぁ。
そんなことを思いながらもう一度レッスン場の熊井ちゃんを見てみる。昨日とはまた違う感覚かも。
熊井ちゃんにくっつく千奈美と桃を見て、胸が苦しいような、見ていられないような気持ちを今度は感じちゃう。
あ、昨日はテンパってたけど、冷静になった今ならわかっちゃったかも。これって…

恋、なのかな。

恋愛なんてしたことなかったけど、こんな感じなのかな…昨日冗談でやった告白、いつか本気でする日が来るのかな?
コンサートが終わって、新学期になったら、この気持ちの正体を確かめるためにまた熊井ちゃんと2人で会わないとね…次はいつにしよっかな。
できればコンサート楽しかったねー、あの衣装ステキだったねー、とか言いながらオフを楽しめるといいな。

そんなことを考えながら、あたしは新曲の衣装へと着替えに向かうのだった。

YURI-Scene5- closed.
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。