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  恋の呪縛―千奈美と友理奈― 

恋の呪縛 2006/08/05 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
自分はこの千奈美と友理奈のCP(カップリング)「ちなゆり」が好きなのですが、ここでは『恋の呪縛』の世界にて2人が図らずも恋敵同士になってしまう設定です。

2004年11月5日掲載。

.

「大丈夫!この千奈美お姉さんに任せなさいって!」

放課後の教室には、そう高らかに宣言するあたし、そして「おー!」パチパチパチ…と手を叩いてこちらを見上げる友理奈がいた。
他には誰もいない。いや、いたらこんな宣言は恥ずかしくてできなかっただろうけど。運動会の選手宣誓じゃないんだしね。
でもこの宣言はそんなことより(って言ったら運動会に悪いかなぁ?)とっても大事。何しろあたしたち2人の共同作業なんだもの。

そうと決まれば即行動!「じゃ、行ってくるね!」あたしはそれを実行すべく、さっそく教室を後にした。
目指すは下駄箱。あの人が下校しちゃう前につかまえなくちゃ!

そもそもなんでこんなことをしてるかというと、話は30分くらい前にさかのぼる…。

みんながもう帰ってしまった今日の放課後の教室には、机に腰掛けるあたしと、その近くのイスに座る友理奈だけが残ってた。友理奈はあたしのいっこ下の5年生。
学年は違うけど教室が近いし、学校でやったボランティア活動でいっしょの班になった時に仲良くなってからこうして放課後の教室とかでおしゃべりすることが多くなった友達。

でもいつもはたわいのない話なんだけど、今日はなんだか様子が違う。
おしゃべりして普通に笑うことは笑うんだけど、ふと話が途切れたときなんかに表情が沈む感じがする。どうしたんだろう。

「友理奈、今日どうしたの?なんかあった?」

あたしは思い切って聞いてみた。友達なんだから何か力になれるかもしれないし。
するとちょっとの沈黙の後、友理奈は顔を上げて

「あのね、ちなっちゃん!あたし…あたし、好きな人ができちゃったみたい」
「…え、えーっ!」

びっくりしたー。だって友理奈は見た目はオトナっぽいけど、実はなわとびとかブランコとかで遊ぶのが大好きな子だったから。
そんな子が恋!いつのまにそんなにオトナに…お姉ちゃんは嬉しいよウンウン…って今はそんな事言ってる場合じゃないよね。
友理奈は真剣に悩んでるみたい。でもこりゃ結構大変そうだぞ…とりあえずはもっと話を聞かなきゃ。

「へぇ~!で?だれだれ?誰が好きなの?」

あたしは思わずはしゃいじゃう。その声がよっぽど大きかったのか

「しーっしーっ!」

大慌ての友理奈。誰がいるわけでもないのにあわてる様子が、オトナっぽいルックスしてるだけにいっそうおもしろい。
おかしくて思わず笑っちゃったあたしにちょっとムッとしながら、友理奈はぽつりぽつりと話しだす。

「あのね…」

友理奈が好きになった男の子は、あたしと同じクラスの子。
そんなにすんごくカッコいい!…ってワケじゃないんだけど、優しそうな、そしてメガネの似合う男の子。
あたしも何度か話したことはあるけど、うん。いい人だよね。でも友理奈があの人をねぇ…へぇ~、友理奈はああいう人がいいんだぁ…。
何はともあれ相手はわかった。後は行動あるのみね。

「じゃあ、あたしが今から彼をここに呼んできてあげる!」
「えぇ!?でも…」
「だって…好きなんでしょ?」
「…うん」

こくり

うなずく友理奈はそれはもうかわいかった。これなら絶対大丈夫!
きっと彼も友理奈のことを気に入るよ。さぁ盛り上がってきたぞ~!
でもまだ不安げな表情の友理奈。しょうがないなぁ

「大丈夫!この千奈美お姉さんに任せなさいって!」

そんなわけで今あたしは下駄箱に向かってる。彼を教室に連れて行って、それで友理奈に会わせる。あとは友理奈ががんばればOK!
問題は彼を教室に連れて行けるかどうかなんだけど…さっきまで廊下にいたみたいだし、きっとまだ間に合うはず。
あたしは走った。バドミントンクラブで鍛えていたあたしの脚は、はたして下駄箱の入り口で彼に追いついた。

「と、徳永さん?そんなに急いでどうしたの?」

彼が聞いてくる。

「話があるの!ちょっと来て!」

有無を言わさず彼の手を引っ張って校内へと連れて行く。あたしがよっぽどせっぱつまった様子だったのか、彼はただあたしについてくる。
ん?なんか彼の顔が赤くなってるけど…まぁいいや、今はそれどころじゃない。この後が大事なんだから。

そうしてすぐに教室に着いた。ずっと彼の手を握ったままだったことに気づく。あ、こんなところを友理奈に見られたらちょっとまずかったかな?
そう思って周りを見たけど、友理奈はまだ来てないみたい。よかった…。
あとはもうすぐ来るはずの友理奈に任せればいいよね。あたしは最後の仕上げに入る。

「あのね、ちょっとここで待っててね」

こうして彼を待たせて、あとは友理奈に…そう思って教室を出ようとしたそのとき

「あ、あの、待って!」

彼が呼び止めてくる。あの、早くあたしは立ち去らないといけないんですけど…。
でも彼はそんなあたしの事情なんか知るわけもなく、何やら一生懸命だ。

「ぼ、僕、好きなんです!」

あ、やっぱり。そりゃあねぇ、あんなにかわいいんだもの。大切にしてあげてね。

「徳永さんのことが!」

そう、友理奈がって…え?

「え?えぇぇ??」

頭が真っ白になった。その瞬間友理奈との段取りとか、すっかりどっかに抜けてしまっちゃって…
友理奈は彼が好きで、彼はあたしを…あたしを好きで、でも友理奈とあたしは友達で…
さっき真っ白になったのがウソのように、今度は頭の中をいろんなことがぐるぐる廻る。でも全然まとまんない。

「僕、徳永さんと付き合いたいんです!僕なんかじゃ頼りないかもしれないけど…でも徳永さんのこと守るから!」
「そ、そんなこと言われたって…」

どうしよう。まるでかなしばりにあったみたいに動けないよ。早く、早くここから…!
あたしがそう思ったそのとき、廊下から

タッタッタ…

あれは友理奈の足音…!まちがいない。早く、早くしないと…!
でもコートの上でならあんなに軽やかに動ける身体が、今は全然動かない。どうして?
どうしたら…どうしたら…どうしたらいいの…?


告白なんてしないでよ
付き合い方も知らないくせ
どうやって私守るのよ
根拠も何も無いくせに

大人ぶるのやめて
真面目顔もやめて
女友達が君の事
好きだと知ってるのよ私

教室には何もないわ そんな強く迫らないで
女同士友情って こんなことではかなく砕けるの
恋の呪縛

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