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  YURI-Scene6- 

YURI 2006/08/07 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
熊井友理奈聖誕祭ということで、誕生日当日に完結を目指して作成した三日連続更新。これはその第一日目です。
登場するCPは「りしゃゆり」、梨沙子の一途な行動が友理奈の心に響きます。

2006年8月1日掲載。

.

「こんにちはー」
「梨沙子、今日誰もいないってば」

これがうちに梨沙子を迎えての最初の会話。今日は梨沙子とあたしの家で勉強会。
今までうちに来るのはちぃとかももちとかであんまり梨沙子は来なかったんだけど、
最近は梨沙子がよく話しかけてきたり、遊びに誘ったりしてくれるようになったからそのお礼に呼んでみた。
それに今日はお父さんもお母さんも帰り遅いし、弟もプール行ってるしで誰もいなくてちょっと寂しかったしね…。

「あ、そっか。そういえばさっき熊井ちゃんそう言ってたよね」

へへへと笑う梨沙子。その顔は本当に年相応って感じで、あぁ小学生なんだなぁ、と思う。
春まではあたしも小学生だったからよく一緒にされたけど、今だとやっぱり梨沙子は子供っぽいと感じちゃう。
でもそれはいい意味の子供っぽさ。梨沙子はこう見えてすごくよくできた子。
たとえば今も靴を脱いだ後、こっちにお尻を向けないように斜めに座って、揃えて置いてる。
他の人、たとえばちぃなんかはよく脱いでそのままにしてたりするけども…。
梨沙子は実はすごくお行儀がよくて、ちょっとした仕草のあちこちに育ちのよさを感じさせるところがあるよね。
廊下でハロー!の先輩たちとすれ違うときなんかは必ずきちんと立ち止まって礼をするし、
メンバーと話してても「ありがとう」「ごめんなさい」なんかをちゃんと言える。これって普通に見えて難しいのに。
お行儀以外でも結構料理とかできたりするし、手先器用だし、実は将来はいい奥さんになるんじゃないかと思う。
あと他にも絵が描けたりとかいろいろできるしなー、いいなぁ…。

「どしたの熊井ちゃん?」

そんなことを思っていると靴を脱いで向き直った梨沙子がこっちを不思議そうに見てた。
ついついボーっとしちゃってたらしい。

「な、なんでもないよ」
「ヘンなのぉ」
「いいからこっちこっち」
「はーい。おじゃましまーす」

家の中に梨沙子を招く。リビングを通ってあたしの部屋へ入る。
暑い中梨沙子に来てもらったので、あたしはお茶を取りにキッチンへ。
その間梨沙子には部屋で待っていてもらうつもりだった…けど、梨沙子に呼び止められる。なんだろう。

「ねぇ熊井ちゃん、この扇風機使っていい?」

梨沙子は部屋の隅に置いておいたミニ扇風機に興味を示してる。あれは確か99円ショップでこないだ見つけて買ったんだっけ。
でも一応梨沙子が来るちょっと前からエアコン入れて涼しくはしておいたんだけどなぁ…エアコン効いてなかったかな?
そんなあたしの疑問に答えるように梨沙子は続ける。

「あ、えっと、暑いとかじゃなくてね、ちょっと遊んでいいかなって」
「えー、梨沙子ったら子供ー。いいけどさぁ」
「やったー。じゃあ使おうっと」

かちっ

「あぁー風が気持ちいいー。あ"あ"あ"あ"あ"ー」
「あはは、ほんとに子供なんだから」

扇風機で声を変えたりして楽しそうな梨沙子。何歳児だよ!って感じもするけど、でもまぁお客さんが退屈してないのはいいことかな。
楽しそうな梨沙子を残して、お茶を取ってくる。あとお菓子も。
それを横に置いて、テーブルで向かい合って勉強会。ただ勉強会とは言っても、実際はほとんどあたしが梨沙子の勉強を見てあげる感じ。
梨沙子は夏休みの宿題は初めのうちに終わらせたいってことらしくて、やる気はまんまん。
勉強会開いてもすぐ休憩しようしようって言ってくるちぃと違って、真剣そのもの。
ただ肝心の学力にはムラがあるみたいで、できるところはすごくできるのにできないところはとことんできない。
その"できないところ"を見てあげるのがどうやら今日のあたしの仕事みたい。
自分の宿題も進めながら、梨沙子が質問してくるたびに答えてあげる。
素直に疑問をぶつけてくる梨沙子に一からきちんと説明する、これってあたしにとっては小学校の復習にもなってるし、何気にいいかも。

それからしばらく勉強したあと、休憩時間。

「梨沙子って勉強熱心なんだね」
「そう?熊井ちゃんの教え方が上手だからだよ」
「えー、そうかな」
「うん、すっごく丁寧でわかりやすいもん♪」

嬉しい。梨沙子ったらかわいいなぁ。梨沙子の担任の先生はいいなぁ、こんな生徒持てて。
梨沙子を見つめながらそんなことを考える。なんか梨沙子って完璧だよね。
見た目はかわいいし、スタイルはいいし、さらにこんな風に性格もいいし。
あたしが男の子だったらほっとかないよね。惚れちゃうかも。本気で…

「ねぇ、ちょっと本気入っていい?」
「そう本気…って、え、えぇっ?」

また考えてたこと見透かされた?しかも今度は読まれたら恥ずかしいよ!
そう思ったけど、どうやら違ったらしい。梨沙子は髪をかきあげて後ろにまとめだしたのだ。

「髪がね、うっとうしくって…」
「あぁ、後ろでくくるの?」
「うん…これでよしっと」

髪をまとめて再び宿題に向かう梨沙子。なんか凛々しい感じ…。
新曲でポニーテールを結うときにはかわいい感じだけど、無造作に髪を束ねた梨沙子もいい感じ。
でも見とれていてばかりじゃダメなので、あたしも宿題に手をつける。
"本気モード"に入った梨沙子は今度はひたすら自分で問題を解いている。
さっき教えた基礎を応用するためにしっかり頭を働かせているらしい。うんうん、いいことだよね。
あたしも"生徒"の様子に満足して、自分の宿題に集中することにした。
梨沙子が呼ばないので集中が途切れることなく、どんどん進んでいく。

それからどれくらいたっただろうか…ふと顔を上げると、梨沙子がこっちをずっと見つめていた。

「なに?どうしたの梨沙子?」
「熊井ちゃんってさぁ…いいよね」
「え?」
「かっこいいし、スタイルいいし、優しいし…」
「そんなことないよぉ、それは梨沙子じゃん」
「うぅん、熊井ちゃんステキだよ、すっごく」
「そ、そっかな…なんか照れるなぁ…はは…」

魅力的だと思っていた梨沙子にそう言われるとすっごい嬉しい!なんか…もう梨沙子に夢中になりそう。
頭の中にはちぃのふくれる顔が浮かんだけど…でも目の前の梨沙子もいいし…迷っちゃう。
でもそんな幸せな迷いは梨沙子の次の言葉でふっとんでしまった。

「ままやみやが好きになるのもわかるなぁ」

梨沙子は変わらずニコニコしてる。でもあたしは予想外のこと言われてテンパっちゃう。
そんなあたしをよそに、梨沙子はさらに続ける。

「うちね…最初熊井ちゃんにままやみやをとられたー!って思って、すっごく悔しかったの」
「え!?」
「Berryz工房に入ってからみんな優しくしてくれたけど、特にままはママみたいに優しくしてくれたし、みやとは親友になれたし」
「そうだよね、すぐ仲良くなったよね、あの2人と」
「だから2人が熊井ちゃん熊井ちゃん言い出したのが悔しくて…熊井ちゃんに近づいて、少しでも熊井ちゃんのいいとこ盗もうって思ったんだ」
「そ、そんな…盗むだなんて」
「それで、魅力的になってもう一回ままにとみやに戻ってきてもらうんだ、って思ってたの」
「り、梨沙子…」

梨沙子のとんでもない告白にあたしはもう何がなんだか。でもまだこれで終わりじゃなかった。

「それに」
「え?」
「ままとみや以外にも、熊井ちゃんみんなといろんなことしたっぽいし…」
「だ、誰がそんなことを?」
「ん…なんとなくそんな感じがする。いつも仲良しのちぃの他にも、ひとりひとりとなんかいろいろしてきた感じが」
「…」

梨沙子の評価に"勘が鋭い"を付け加えなくちゃなぁ…なんて考える余裕はもちろんなかった。
あたしはただただ梨沙子を見るばかり。何か言わなくちゃ、でも何も言えない。
そして梨沙子がまた口を開く。

「でもさぁ…」
「な、なに?」
「熊井ちゃんと一緒にいたら、なんかそんな憎い気持ち、どっかに行っちゃった」
「え?」
「熊井ちゃんってすっごいステキなんだもん。好きになっちゃった」
「でも…みややまぁさんのことは?」
「もちろん好きだよ。でも熊井ちゃんも同じくらい好きー」

自分の言葉で高まったのか、梨沙子が抱きついてくる。無邪気な愛情表現。
でもそれを抱きしめ返すあたしは――さっきまであんなに梨沙子のことをかわいいと、いとおしいと思っていたのに――落ち着かなかった。
頭の中でいろんなことが浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。
梨沙子が気づいた、そして他のみんなも気づいているかもしれない、あたしとみんなとの間に起こってきたできごと、
それを知って好きな人のためにここまでの覚悟をして行動を起こした梨沙子、その一生懸命さ、一途さ、愛の重さ。
そしていっぽうでそれを受けて今不安になってしまっている自分、さらに他の人たちが感じるかもしれない気持ち。
そんなのが全部ごちゃまぜになって頭の中をめぐっていく。
一言で言うなら「罪悪感」と言ってもいいかもしれない、このままでいいのかなぁ、って気持ち。

時間も夕方になっていたし、結局その日の勉強会はそこで終了。
勉強が進み、気持ちも打ち明けた梨沙子は楽しげな顔をしたまま帰っていった。
でもあたしの心はまだ波立ったまま。全然この悩みは消えそうにない。
でもこんなのメンバーの誰にも話せない。コンサートも近いんだから余計な問題は避けたいよ。
どうしたら、どうしたらいいの…?

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