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  たいせつなもの たいせつなひと 

Berryz工房 2006/08/05 |このエントリーを含むはてなブックマーク 
前作はどちらかと言えばほのぼの系でしたが、こちらはかなりハードな部分があります。
GL(ガールズラブ=女の子同士の恋愛)がお気に召さない方はご覧にならないほうが賢明です。

2004年12月31日掲載。

.

「最近ちなっちゃんどうしたんだろ…」

ダンスレッスン後、自販機コーナーでたたずむ友理奈。
前はいっしょに帰っていた千奈美が、ここのところそそくさと帰ってしまう。それも自分と目が合うと、まるで逃げるように去っていく。
「ちなゆり」なんていう極秘ユニット(ミニモニ。を意識)も作った仲なのに…。

「あたしのこと、きらいになっちゃったのかな…」

悩んでも、悩んでも、わからない、わからない…





その夜。





「ぅあっ!」

夜更けに自室のベッドで、目を覚ます千奈美。

「はぁ…はぁ…また、あの夢…」

冬だというのに、汗びっしょり。その目からはやがて涙。

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

ひたすら涙をこぼす千奈美。自ら涙をぬぐう。しかしその手はやがてすぐに、目から頬を滑り降りて、唇へ。
唇に指を当て、つぶやく。

「夢じゃない…あれは確かに、夢じゃない…」

唇に残る感触を思い出す。

「あたし…たいへんなことをしちゃった…どうしよう…どうしよう友理奈…」

何度寝ても"それ"が夢に出てきて、目を覚ます。

眠っても、眠っても、寝たりない、寝たりない…





数日前に日付を戻す。





正月ハロコンの練習をするBerryz工房。しかしメンバーの中には一連のツアー、握手会が終わって緊張の糸が切れてしまい、先生の叱責を受けてしまう者も。
この日とりわけ怒られていたのは舞波。練習が終わっても彼女の表情は沈んだまま。
そんな舞波に、千奈美は声をかける

「舞波~、きっと明日はうまくやれるよ。ファイト!」
「…」
「…えぇっと、がんばろう…ね?」
「…あたし…お荷物なのかなぁ…」
「え?そんなことないよぉ!」
「だって…なんでBerryz工房に選ばれたのか…正直わかんない」
「なんで選ばれたのか、ねぇ…」
「なんでダンスも歌もからっきしなあたしが選ばれたんだろ…わかんないよ」
「んー、よくわかんないけど、きっと"ここでがんばりなさい"ってことじゃないかな」
「え…?」
「ダンスも歌もできないからこそ、がんばっていく姿を見せてみろって…そういうことなんじゃないかなぁ」
「千奈美…」
「うん…きっとそう。舞波は期待されてるんだよ!ファイト!」
「…ありがと。うれしい」
「いえいえっ」
「ダンスも歌もからっきし、ってところは否定してほしかったけどね…」
「あ…」
「ふふ、冗談」
「もー」
「…ねぇ、千奈美」
「なに?」
「ウチに遊びに来ない?今日うちのパパもママも帰りが遅くて…」
「え?別にいいけど…いいの?」
「うん。一人って寂しいから…」

行くべきではなかったのかもしれない。

「あがって」
「こんにちは。おじゃましま~す」
「もう。だから誰もいないって」
「あ、そうか。へへ」

舞波の家のリビングに通される千奈美。適当に雑誌に目を通す。
そこへ紅茶を持った舞波が戻ってくる。

「お砂糖2つでよかった?」
「うん。ありがとー」
「はい。召し上が…あっ!」
つまづいて紅茶をかけてしまう舞波
「ご、ごめんなさい…すぐに拭くもの持ってくるから」
「あ、えっと…大丈夫だよ。うん、大丈夫」
「で、でも…ごめんなさい。あたしってやっぱり…ドジ…」
「だからぁ、そこが舞波のいいとこだって!気にしないで!」
「ドジってところは否定してほしかったけどね…」
「あ…」
「ふふ、冗談」
「もー」

千奈美の隣に座って服を拭いてあげる舞波。そこで千奈美の顔を改めて間近で見る。
いつも笑顔の千奈美、今日のように自分が苦しいときにも笑顔で元気を分けてくれる千奈美。
それを思うと、急に舞波の胸は高鳴って…抑えきれなくなって…2人の目が合った瞬間、舞波はつい…

「…ねぇ、千奈美」
「え?何…んっ!」

舞波の唇が、千奈美のそれに重なる。さらに…舞波が千奈美の口の中に入ってくる。

(ま、舞波!?えぇっ!これって!?)

ほんの一瞬だったのだろうが、永遠にも感じる瞬間の後、舞波は唇を離し…

「…ごめんね」
「え、えっと…」
「千奈美、ありがと。あたし、明日からもがんばれるかも。千奈美の元気、もらったから」
「え、えっと…よ…よかったね。よかったん…だよね」

その後帰宅した千奈美。頭の中には舞波とのキスのことしか浮かんでこない。

「(遊びで"ちゅー"したことなら何度もあるけど、あんなこと、あんなことって…はじめて…)」

それからというもの、昼も夜も思い浮かぶのはそのことばかり…他に何も考えられない…仲良しの友理奈の顔も見られない…





日付を現在に戻す。





「今日もちなっちゃん、元気ないなぁ…」

レッスンの休憩時間に千奈美を見る友理奈。

「うーん…ここはやっぱりあたしが元気づけてあげないと!"ちなゆり"なんだし!」

千奈美に駆け寄る友理奈、それに気付いた千奈美の顔には、明らかにとまどいの表情。

「ちなっちゃん!元気ないよ~!どうしたの?」
「な、何でもないよ。普通だよ普通」
「え~見えないよ。ね、どうしたのどうしたの?」
「だから何でもないってばぁ」
「む~強情だな~。それならムリにでも元気にしてあげるもん。え~い!」

おもむろに千奈美の唇に自分の唇を近づける友理奈。以前はBerryz同士なら誰でもやっていたスキンシップ"ちゅー"。
これでちなっちゃんを元気付けよう!友理奈はそう思った。
しかし…

「やめてっ!!!」

レッスン場に千奈美の叫びが響き渡る。他のメンバーも何事かとこちらを見る。

「ちなっちゃん…?」
「お願い、やめて…」
「どうして?前はあんなに"ちゅー"したじゃない?ちなっちゃんどうしたの?」
「だって…あたしは…あたしはもう…」
「ちなっちゃん…えっと…その」
「…お願い、一人にして」
「う、うん…あ、みんな!何でもないの。ごめんね」

練習後、千奈美はやはりそそくさと帰宅する。自分の部屋に閉じこもり、鍵をかけ、お気に入りのクッションに顔をうずめて涙する千奈美。
一方友理奈は千奈美を慰めようと家の前まで来るも、呼び鈴を押す勇気が持てず立ち尽くす。
そんな友理奈をカーテンの隙間から見る千奈美。やがて友理奈はきびすを返して帰ろうとする。
それを見て、千奈美は…

「待って友理奈!」
「…ちなっちゃん!」

玄関先に姿を現した千奈美を見て喜びの表情を浮かべる友理奈。しかし当の千奈美は…

「友理奈、あたし…あたし…うっ…うっ…」
「え?えぇ?」
「友理奈ぁ…あたし…」
「こ、ここじゃなんだから!公園行こ!公園!ね?」

千奈美の手を取り、友理奈は歩き出す…
近くの公園のベンチに座る2人。

「うっ…うっ…」
「ちなっちゃん…」
「ごめんね、ごめんね友理奈…」
「気がすむまで泣いていいよ、うん。それで何か話したくなったら、話して」
「うっ…うっ…ありがと…友理奈…うっ…」

何分経っただろうか。うつむいたまま、千奈美はぽつり、ぽつりと語り出す。

「…あのね、あたしね、舞波と…」
「待って。こっち向いて」

話を遮って千奈美の注意を引く友理奈。そして…

「え?何…んっ!」

あの日の舞波と"同じこと"をする友理奈。目を白黒させる千奈美から、友理奈は顔を離して…

「舞波ちゃんと…これ、したんでしょ」
「ど、どうして…知ってるの…?」
「ん…なんとなく。ちなっちゃん毎日ずっと舞波ちゃんの方見てたし、くちびる指でずっとさわってたから、もしかしたら…って」
「友理奈…あたし…あたし…!」

全てを打ち明ける千奈美、黙って耳を傾ける友理奈。

「ごめん…あたし、あたしもう"ちなゆり"とかできないよ…」
「ちなっちゃん…」
「だって…他の人と、あんなことしちゃったんだもん…あたし、汚れちゃったもん。イヤでしょ?そんなあたしなんて…」
「…イヤじゃないよ」
「え…」
「それで舞波ちゃん元気になったんでしょ?ちなっちゃんはいいことをしたんだよ。汚れてなんてない」
「でも…」
「それに!」
「?」
「…ちなっちゃんはちなっちゃんだもん!あたしのだいすきな!」
「…友理奈…でも…」
「さっきの…キス」
「え?」
「さっきの"キス"…"ちゅー"じゃない"キス"、あたしのはじめてのキスだったんだよ」
「…それをどうしてあたしなんかに?大切なのに…」
「ちなっちゃんだから…だよ。たいせつなひとのためにずっと取ってきたんだから…」
「友理奈…」
「だから…ちなっちゃん、責任とって!」
「え?責任??」
「ずっと一緒にいよ!"ちなゆり"で。そしてずっとずっとあたしのたいせつなひとでいて!それでまとめて許してあげる!!」
「友理奈…」
「ね?」
「友理奈…うん…ありがとう…ほんとうに、ありがとう…」
「ちなっちゃん、だいすき!ちなっちゃんはあたしのたいせつなひと!」
「…あたしも!友理奈はあたしの大切な大切な人だよっ!」

そうしてもう一度、唇と心を重ねる2人なのでした。
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